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公益財団法人とかち財団

とかち財団は、十勝にイノベーションを引き起こす産業振興のプラットフォームです。事業の立ち上げ、商品開発、企業間コラボレーションなど、あなたのビジョンを実現するためのあらゆるステップに力を尽くします。

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とかち財団では、令和4年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」への申請者を募集しています。そこで、過去の補助金採択者のインタビューを全3回にわたって掲載します。


過去採択者の皆さんの当時の状況や、どのようなことを考えて事業を実施していたのかといった思いが、今後応募を検討されている方々にとって参考となれば幸いです。


第1回は、令和3年度「十勝人チャレンジ支援事業補助金」で事業を実施した、クラフトキッチンの齊藤肇さんです。



ー現在の事業内容について教えてください。


上士幌町で「旅するスパイス」として、オリジナルスパイスやハーブの製作・販売を行っています。お子さん用の辛くないブレンドスパイスもご用意しています。また、スパイスを主軸とした食品開発を行なっています。十勝の食材をスパイスで変身させ、スパイス料理を手軽で美味しく、家族や仲間で食卓を囲んで楽しんでもらうことを目指しています。


「旅するスパイス」の商品パッケージ。齊藤さんの人柄をイメージさせる可愛らしいデザイン。クラフトキッチンのWEBページはこちら


北海道産にこだわる北海道の方々は素晴らしいなと思います。


ー「十勝人チャレンジ支援事業補助金」に応募した経緯について教えてください。


私は、元々首都圏で、幼稚園の先生やベビーシッターといった子供に関わる仕事をしていました。また、そもそも食べることや異国グルメがとても好きだったのですが、そういった料理を再現しようと思っても当時はネットも発達しておらず、なかなか食材も手に入りづらいといった状況で、本を見ながらレシピを勉強しているような日々でした。


そんな中、子供向けの造形ワークショップをやっている中で出会った、スパイスメーカーに勤務されているあるお子さんのお母さんと交流を深めていくうちに、私がスパイスに関して「やけに詳しすぎる」ということでスカウトされ、そのスパイスメーカーで働くことになりました。そこに勤めれば、美味しいものもたくさん食べられるようになるなという思いもありました(笑)。


そういった子供に関わる仕事とスパイスメーカーでの仕事を両輪でやっている中で、出会った十勝の方とお話をしているうちに、だんだん十勝に惹かれていきました。初めて十勝を訪れてみると、スーパーは北海道産の食品で溢れており、声を上げてしまうくらい嬉しかったことを覚えています。北海道産にこだわる北海道の方々は素晴らしいなと思いました。当時は震災後で様々な不安があったこともあり、十勝への移住を決めました。



上士幌に来てから数年後、お子さんを対象とした造形ワークショップを始めました。その中で、お子さんのお母さんから、「子供の遊ぶところがない」とか、「冬は子供が家に篭りっぱなしになってしまう」といった話を聞いたこともあって、子供の遊び場をみんなで運営することになりました。その中では、お母さん方から子供に苦手な野菜を食べさせるためにマヨネーズに混ぜる辛くないスパイスが欲しいといったご要望に応えてスパイスを作ったこともありました。お母さん方から相談を受けて私から返せるものが、子供の遊び場やスパイスだったんですね。


補助金への応募に関しては、スパイスの事業を運営していくため、まずは十勝の色々な事業者さんや生産者さんと繋がり、商品作りの実績を作りたいと考えたことがきっかけでした。



今後は国内全域のマーケットへ販路拡大を目指していく。


ー補助金事業ではどのようなことをやっていたのでしょうか。


補助金事業では、「スパイスの力で!十勝スパイスネットワーク~スパイスを使った6次産業化サポートと十勝グルメの新機軸演出」というテーマで、スパイスを使って十勝産の幅広い食材や加工品の持ち味を活かした個性的な商品の開発を行いました。


様々な事業者さん、生産者さんと協力し、フロマージュブラン、スパイス風味茹でピーナッツ、昆布入りミックススパイス、スパイスを使ったはちみつ羊羹など、合計で8種の商品・メニューを開発しました。今後、これらの商品化を進めていきます。また、この事業で十勝の生産者さん、事業者さんとの新たな繋がりもできましたし、これからは国内全域のマーケットへ販路拡大を目指します。


補助金事業の中で苦労したこととしては、協力する事業者さんによって商品開発のイメージがバラバラだったことがあります。一緒に商品を練り上げたいという事業者さんもいれば、「○○の商品を作ってほしい」という依頼であったり、新メニュー開発のアドバイスをしてほしいという依頼であったり、商品開発までに至る協力方法によって自分の役割も全く異なってくるため、それぞれ何を最終ゴールとしているかの事前のヒアリング、コミュニケーションがとても大切だと痛感しました。


また、細かい話ですが、私の場合はきゅうりがいくらとか、お金の使い方が細かかったので書類を集めるのが大変だったということもあります。ガソリンを満タンにしたところから車移動しなければならなかったのにそれを忘れていたり、補助金を受けるに当たって注意する癖が付いていなかったという点が反省点です。商品開発というデリケートな作業と、そういった細々とした注意点を並行して考えなければならなかった点に苦労しましたね。


商品・メニュー開発の様子。開発の過程では様々な苦労もあったのだそう。



































ー今後の事業展開について教えてください。


現在、補助金事業で開発したいくつかの製品が商品化される段階にあります。フロマージュブランはコープのトドックでも取り扱われますし、ビールおつまみのスパイスラスクはクラフトキッチンから売り出す予定です。その他の開発商品も道内のショップで販売される予定のものもあります。


そして、最終的にはやっぱり子供の遊び場を大切にしていきたいという思いがあります。「ここにきたら自分の居場所がある」と感じてもらえること、繰り返し通う中で新しい発見があったり、心が落ち着いて閉じた心が開いたり、子供たちにはそんな場所があるべきだと思っています。そのような私の思いを、スパイスと一緒に実現していけたら良いなと考えています。


あとがき


当補助金での事業は、スパイスを活用した商品を開発するというテーマに挑んだものでしたが、商品開発に留まらず将来的な販売に結びつけるルートについても構築していったことが成功に繋がったポイントではないかと考えています。自らのアイデアだけではなく、協力事業者さんとトライアンドエラーを繰り返しながら、あるべき最適な事業の形を見出せたことは、当補助金を活用したからこそできたのではないかと考えます。商品パッケージも可愛らしくデザインされている齊藤さんの商品が、今後店頭に並ぶことも楽しみです。


次回のインタビューもお楽しみに!