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「爆風 〜十勝で新たな風を起こす若きイノベーターが大集合〜」2024レポート

昨年につづき第2回目となる、学生起業家や起業を目指す学生の取り組みを紹介する「爆風 〜十勝で新たな風を起こす若きイノベーターが大集合〜」が2024年2月24日に開催されました。真冬の十勝を熱くする学生イノベーター6人の発表と、参加者たちとの交流の様子をレポートします。

(左側:とかち財団・植田さん、右側:同・山口さん)

今年も司会を務めるのは公益財団法人とかち財団LANDコーディネーターの山口さん、植田さん。テンポの良いコンビトークで出だしから会場を盛り上げます。この日会場に集まった参加者は総勢40名。軽快なBGMのなかいよいよ「爆風」スタートです!

高原大雅さん
東京大学 理科一類 1年生

トップバッターを務めるのは、東京大学1年の高原大雅(タカハラ タイガ)さんです。小学生のときに「50億年後、太陽の膨張により地球は滅亡する―」と知り、太陽の膨張を止めたい!というただならぬ想いが芽生え宇宙開発を志した高原さん。現在は、大学で火星を超える惑星間航行のエンジン開発を専門としています。
大学入学後、「宇宙空間で輝けるアイデアは現代の地球にも貢献する」という理念から、逆算的思考で人材育成を目指す団体『Un Fiction』を創設。SF的な思考アイデアを具現化していくプロセスを通じて新しい価値観を創出する『宇宙逆算ワークショップ』の開催など、宇宙教育を軸とした事業展開を進めています。
歩んできた道を振り返ることで自身の進む道を見つけた経験から「たまに立ち止まり自分を見つめ直すことは、きっとその先の道標になる」と参加者へメッセージを送りました。

蓮見大聖さん
明治大学 情報コミュニケーション学部 4年生

「世界は僕が変えていきたいと思っています」そんな力強い言葉から、明治大学4年蓮見大聖(ハスミ タイセイ)さんの発表が始まりました。JAXAとの共同研究で宇宙の生命維持研究に携わった経験を持つ蓮見さんは、宇宙空間で最も重要である『生命を維持する装置』の製作ラインに多額の費用が必要なことを問題視し、コストダウンと宇宙都市の実現を目指す新たなプロダクトを開発しています。
若くしてJAXAとも関わる蓮見さんですが、過去には事故で1年以上の入院生活を余儀なくされた経験や、外見や学歴のコンプレックスから強い劣等感を抱えた辛い時期もあったとのこと。人に負けない自分の領域はなんだろう?と自身に問いかけたとき、幼い頃からの宇宙への憧れと命の大切さを身をもって知った事故の経験が、自身の強い手札であることに気が付きます。そこが転機となり「宇宙で生命の課題を解決したい」と、宇宙開発の道に進み現在に至ったそうです。
参加者に向け、まずは経験を重ね手札を増やし「誰かの領域展開ではなく自分の領域展開が大事」と、自分だけの“勝てる領域”を見つけることの大切さを伝えました。

菅原瑞季さん
昭和女子大学 人間社会学部 4年生

一際明るい笑顔が印象的な昭和女子大学4年の菅原瑞季(スガワラ ミズキ)さんは、家や学校に次ぐ第三の居場所となるような心地の良い空間(=コミュニティプレイス)をつくりたいとの想いから、対話するカレー屋『RummyCurry』を2021年にスタートしました。
進学や環境の変化とコロナ禍が重なり心のバランスを崩した自身を救ったのがカレーをつくることでした。言葉にできない感情をカレーを通して『表現』することで、心が楽になる当時の感覚が今も菅原さんの原動力になっています。現在は全国7都市でポップアップ形式のイベントを開催するほか、「カレーの匂いや、手をつかい食べることは人の心を癒す」と仮説をたて『カレーセラピープロジェクト』を発案。今後は、医療機関と提携して実証しながらカレーのさらなる可能性を見出していきたいとのこと。
最後に、「何かしてみたいことがあるなら人目を気にせずに挑戦して欲しい。すぐに目標が見えなくても、きっと道は開けるはず。自分らしい『表現』を大切にして」と、参加者の背中を押しました。

村井誠剛さん
北海道大学 大学院 修士2年生

農業の総合商社を目指し活動する北海道大学大学院修士2年の村井誠剛(ムライ セイゴウ)さんです。現在は大学院に通いながら株式会社CHANBLUEの代表取締役として「ChangeOurFuture 未来を変える」という想いで、牛に与える飼料添加物としての岩塩のを中心に事業を展開をしています。
岐阜県の米農家に生まれ育った背景と人との出会いが繋がり、りんごジュースを販売する学生団体を立ち上げたことからビジネスの世界に飛び込んだ村井さん。飼育飼料の価格高騰等から酪農家に経営難が起きていることを知り、ヒマラヤ鉱山から岩塩を輸入し、販売する現在の会社を設立。ワンストップで輸入する商社機能で44%のコストカットを実現しています。今後は道内の地域商社とさらなる提携で動線を制覇していくことや、岩塩を活用したBtoCビジネスにも力を入れていきたいと意気込みます。
人との繋がりが今のビジネスに大きく影響していることから、「出会いがいつ繋がってくるかわからない。まさに『connectting the dots いつか点と点が繋がる』を意識して、何気ない出会いも大事に過ごしてほしい」と参加者に伝えました。

三寺綸さん
北海道教育大学岩見沢校 芸術・スポーツビジネス専攻 1年生

「香りを通じて気持ちを伝える」という新しいコミュニュケーションサービスに取り組むのは北海道教育大学岩見沢校1年の三寺綸(ミテラ リン)さんです。一般社団法人Ezofrogs主催『Ezofrogsプログラム』の3期生でもある三寺さんは、「大切なひとにこそ素直に言えない自分の想い」を匂いで伝えることができたら、新しいコミュニュケーションが生まれるのでは。と『Hanin』というサービスの構築に取り組んでいます。
Haninとは『想いのフレグランスギフト』です。まずは対話から伝えたい想いを引き出し、想いを言葉にすることで香りに変換する。最後には香りを乗せた絵本のギフトを完成させます。「Haninで大切なひとに香りと共に想いを伝えることで、その香りがまた『二人の思い出の記憶』になる。そんな温かい世界を私はつくる」と、この先の抱負を語りました。
人材育成を目的とするEzofrogsプログラムに採択され、そこで刺激を受けたことで気づけば背伸びをしてしまっていた経験から「何かに挑戦するときには自分にしか出せない色、自分のもつ色で、自分らしい世界をつくって欲しい」と参加者に温かな想いを伝えました。

森陽香さん
帯広緑陽高等学校 2年生

この日最後の登壇者である帯広緑陽高校2年の森陽香(モリ ハルカ)さんは、高校生団体CAN-PASSの現代表でEzofrogsプログラムの3期生。現在は、「もし明日死ぬとしたら」という視点から人生を逆算し、自分宛の遺書をつくる『いっしょにisyo!』というサービスを考案しています。
自分と向き合うことで将来への不安を大きく感じてしまう同世代に向け、小さな頃のようにキラキラとした気持ちで夢を見つけてほしい。という想いから いっしょにisyo! が生まれました。いつか誰しもに訪れる“死”を前提に、対話しながら自分に向き合い、逆算して自分の潜在的な意思や可能性を見つける。そこから見えてくる夢を実現するために「今どんなアクションが必要か」など、足りない情報を具体的に伝え、利用者を新たな挑戦へ導くサービスです。死ぬときの自分宛に遺書を書くことは、これからの人生に向けた自分へのメッセージ。未来への可能性を見つける一歩とのこと。
最後に、「自分の世界を変えられるのは自分だけ。成功も失敗も全ていつかの私の宝物。失敗を恐れずにいてほしい」と、参加者にエールを送りました。

交流タイム/ライトニングトーク

交流タイムでは、イノベーターを中心に参加者同士の交流や、プレゼンされた事業やワークショップの体験で大いに大いに盛り上がりました。

交流会の様子

交流会の様子

また昨年同様、参加学生らによるショートプレゼン『ライトニングトーク』が行われ、十勝出身イノベーターたちの強い熱意が感じられました。

ライトニングトークの様子

さらに、参加者へ向けて道内で実施されている学生プログラムが紹介されます。まずは、一般社団法人Ezofrogs代表理事の大湊さんよりイノベーターの三寺さんや森さんが今年度採択されたプログラム『Ezofrogs』について説明し、来年度の挑戦者を募ります。次にLANDコーディネーターの山口さんからLANDで実施している学生向けの取り組み『Tokachi Eggs』『LANDサークル』『LAND奨学金』について紹介がありました。

(左側:Ezofrogs大湊さん、右側:LAND山口さん)

2023 爆風 オブ・ザ・イヤー!

参加者の心の中に「何かに一歩踏み出してみたい」「挑戦してみたい」「とにかく影響を受けた」など、「変化」という強い爆風を巻き起こしたプレゼンター1名が、今年も「爆風オブ・ザ・イヤー」として参加者投票で選ばれます。会場が緊張に包まれるなか、2024年の「爆風オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは…… 宇宙開発に携わる明治大学4年生の蓮見大聖さん!

爆風オブ・ザ・イヤーを受賞した蓮見大聖さん

歓声と拍手が送られる受賞の挨拶では、「人生がより良い方向に進むきっかけになってくれたら嬉しい。僕もゼロからのスタートでここにいる。皆さんもゼロから1をつくる気持ちでイノベーターとして頑張ってほしい」とエールを送り、感謝の言葉を伝えました。

第2回目となる本イベントは、今年も参加者の心の中に大きな「爆風」を吹かせました。「十勝からもっと挑戦者がでるよう応援していきたい。来年度にはぜひ登壇者になり戻ってきてください!」と司会者の想いを伝え締めくくられました。
寒さも吹き飛ばす熱い「爆風」を巻き起こした学生イノベーターたちの今後の活動にも期待が高まります!


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