2023年2月11日に開催された、学生起業家や起業を目指す学生の取り組みを紹介するイベント、「爆風 ~十勝で新たな風を起こす若きイノベーターが大集合~」が開催されました! 寒波も跳ね返す、若きイノベーターたちの熱い発表・そして参加者たちの交流をレポートします。
集まった参加者により、すでに盛り上がりをみせるLAND会場。司会を務めるコーディネーターの山口さん、植田さんの軽妙なオープニングトークで「爆風」がスタートします。
最初の発表は、慶應義塾大学4年生の山本愛優美(ヤマモトアユミ)さん。装着者の“ときめき”に合わせて光るイヤリング型デバイスの開発について発表します。耳たぶに取り付けられたセンサーでドキドキを可視化する──という「e-lamp.」。「言えなかった気持ちを伝えられるような“日常に新たな感情コミュニケーション”を掲げて開発を行っています」という山本さんは、小さいころからものづくりに興味があり、地元帯広を舞台にした漫画に憧れて起業を決意したそうです。ときめきに関する研究を続け、様々な場面で使える生体情報デバイスに繋げられたら、と今後の目標を話して発表を締めくくりました。
北海道大学情報科学院修士1年生の鈴木湧登(スズキユウト)さんは、MR(複合現実)グラスを用いた「合気道の身体の使い方の習得を支援する」アプリケーションを制作しています。「近くにあるボールを軽く取るようなつもりで」などと説明される合気道の身体の使い方。理解するのに時間がかかるのをMRグラスによる視覚情報で体験させて直感的な習得を支援します。実際に体格差のある二人にステージ上で押し合ってもらい、アプリケーションを使用したときと、そうでないときの違いを体感してもらいました。最後は自らの経歴を紹介し「外に向けてどんどん出すことが大切」と、会場の参加者に向けてメッセージを送ります。
外見に悩む学生と経験を積みたい美容学生のお悩み相談マッチングプラットフォーム「Tasuki」を開発する布川舞桜(ヌノカワマオ)さんは、北海道教育大学札幌校の3年生。一人ひとりの悩みに向き合えるサービスを開発しているのは、自身も美容に関する悩みを「誰かに相談したかった」という経験から。教員を志すうえで触れる生徒たちの悩み相談も、「相談相手を作ってあげたい」と布川さんの背中を後押しします。誰かに会うのが楽しみになるように“あなたの明日に綺麗を足す”「Tasuki」サービスはアプリ化を目指して開発中。「美容の世界には必ずあなたに寄り添ってくれる人がいることを伝えたい」と力を込めます。
北海学園大学1年生で令和4年度LAND奨学金採択者の渡邊輝(ワタナベヒカル)さんは、AI技術(画像診断)を使ったさくらんぼの選別デバイス「Blossom」の開発に取り組んでいます。大学入学前からプログラミングを学び、自ら開発を行っている渡邊さん。農業分野の生産コストの増加が負担になっているという農家の声を紹介し、開発したデバイスにより選別作業にかかる人件費が大きく削減できることを実証実験の映像とともに説明します。実際の果樹園農家への導入が決まっているそうで、「ほかの果物や野菜など様々な農家さんに導入してもらえるようにしたい」と大きな目標を掲げます。
「e-Combuで地球を救う」とコンセプトを掲げるのは、小樽商科大学1年生の大砂百恵(オオスナモモエ)さんと、北海学園大学4年生の錦古里大河(ニシキゴリタイガ)さん。“もったいない昆布から作られた、地球にやさしい家畜飼料”「e-Combu」。牛のゲップから排出されるメタンガスの社会課題に触れ、「e-Combu」はメタンガスを抑制する効果があり、さらに「牛が病気になりにくくなる」予防効果があると説明します。また“カーボンクレジット”という制度を紹介し、「畜産農家に削減量をお金で還元できる仕組みを作りたい」「農業と漁業を繋げて新たな循環型社会を築きたい」とプロジェクトの目標を語りました。
本日最後のプレゼンターは、北海道大学大学院情報科学院修士1年生の阿部優樹(アベユウキ)さんと辻口輝(ツジグチヒカル)さん。祭りの運営を支援するツール「temaneki」について軽快なトークで説明します。自身も大好きでたくさん参加している祭りの運営における役割分担を、手間をかけず楽しく行える機能について紹介。学祭など実際のイベントで使ってもらい、利用者と一緒にブラッシュアップしてきた経緯を語ります。イベントの出席率が大きく向上し、シフトに対するクレームも減少する効果があったことを挙げ、「会場の皆さんも開発の試行錯誤を楽しんでください」とメッセージを送りました。
交流タイムでは、参加者同士の交流に加えプレゼンされた事業の体験コーナーも設置。また交流タイムの合間には、現在目標に向かって活動している参加者学生によるショートプレゼン「ライトニングトーク」も行われました。
↑オンライン視聴者からプレゼンターへの質問タイム
↑プレゼンターの取り組み体験コーナーも
↑参加者の学生イノベーターによるライトニングトーク
熱気あふれる交流タイムが終わり、参加者の注目は再びステージへ。
帯広市の竹川さんから、本日の参加者たちに向けて感謝の言葉が語られます。また「まずは成功体験、“やってみた”という達成感を感じてほしい」とイノベーターを支援する制度を紹介しました。
いよいよ「2023 爆風 オブ・ザ・イヤー」の発表──参加者の心の中に「何かに一歩踏み出してみたい」「挑戦してみたい」「とにかく影響を受けた」など、「変化」という爆風を巻き起こしたプレゼンター1名が参加者の投票で選ばれます。記念すべき、初代「爆風オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは……、「Tasuki」の布川舞桜さん!
布川さんは受賞の挨拶で「皆様の期待に応えられるよう、“あなたの明日が明るくなるよう”頑張ります」と、会場から送られた大きな拍手に感謝の言葉を返しました。
イベントは来年度以降も毎年開催予定! 「冬に学生イノベーターが集まる街にしたいのでぜひ協力をお願いします!」という司会者の願いで締めくくられました。
「爆風」という名前にも負けない、参加者たちのエネルギーを体感できた本イベント。学生イノベーターたちが大きく羽ばたく未来はすぐそこです!