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「『1階革命』田中さんと語り合おう&LAND大交流会」開催レポート!

2025年1月17日、「『1階革命』田中さんと語り合おう&LAND大交流会」がLANDにて開催されました!

総勢40名が参加し、参加者同士が将来的な事業創発や連携に向けて交流を深めたイベントの模様についてレポートします!

(写真提供:写真映像工房くろかりんとう・佐藤有将氏


参加者のマインドセットに革命が!グランドレベル田中さん講演会!


イベントの前半は、「1階づくりはまちづくり」の理念のもと、全国各地の様々な施設や空間、まちづくりのコンサルティングやプロデュースを手がけ、またLANDの空間プロデュースを行った株式会社グランドレベル田中元子さんの講演会「『1階革命』田中さんと語り合おう」が開催されました!


プロフィール
田中 元子(たなか・もとこ)
株式会社グランドレベル代表取締役社長


茨城県生まれ。独学で建築を学び、2004年、大西正紀と共に、クリエイティブ・ユニットmosakiを共同設立。建築やまちなどの専門分野と一般の人々とをつなぐことを探求し、建築コミュニケーター・ライターとして、主にメディアやプロジェクトづくりなどを行ってきた。

2010年より「けんちく体操」を広める建築啓蒙活動に参画。同活動は、2013年に日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞。2012年より、ドイツ、南アフリカなど、海外へと活動を広げる。2014年、毎号2万字インタビューを3万部印刷し、全国の建築系教育機関等へ無料配布する建築タブロイドマガジン『awesome!』を創刊。同年、都会の遊休地にキャンプ場を出現させる「アーバンキャンプ・トーキョー」を企画・運営(協同)。

2014年より屋台をまちへ出しコーヒーを振る舞う趣味を開始。2016年「1階づくりはまちづくり」をモットーに株式会社グランドレベルを設立。2018年「喫茶ランドリー」をオープンし、グッドデザイン特別賞グッドフォーカス[地域社会デザイン]賞、リノベーションオブザイヤー無差別級部門最優秀賞を受賞。主な著書に、『1階革命』(晶文社)、『マイパブリックとグランドレベル』(晶文社)、『建築家が建てた妻と娘のしあわせな家』(エクスナレッジ)。2022年内閣府地方創生推進アドバイザー。


米ポートランドの「多様性」を意識したまちづくり


田中さんの講演はまず、まちづくりが上手くいっている事例の1つとして、米ポートランドの紹介から始まりました。

「ポートランドは自然豊かで歩きやすく、移住者やスタートアップを魅了するユニークな制度や文化が特徴です。自然環境が豊かで歩行者が歩きやすいといった目に見える部分の豊かさと、それを実践するための目に見えない制度面の両輪で、何十年以上もかけて町を作り上げてきました」


また、ポートランド発祥のユニークなドーナツ店「ブードゥードーナツ」の紹介とともに、町に多様性があることがビジネスチャンスを広げることになると説明します。

『ブードゥードーナツ』は料理経験のない二人が創業したにも関わらず、ド派手でカラフルなドーナツが人気を博し、ついには市長からポートランド公認のドーナツだと言われるまでになりました。ポートランドでは、このような個性的なチャレンジを支援する風土があります。市民は”WEIRD(変わり者)”であることを誇りにし、行政もその文化を積極的にサポートしています。市のホームページにも”KEEP PORTLAND WEIRD”と載っているんです。また、そのような多様性があることが、クリエイティブな仕事をしている人々を惹きつけています

「多様の人々の姿が見える1階」を目指して


そして、田中さんは、「建物の1階」に着目してコンサルティングやプロデュースを行う株式会社グランドレベルを2016年に立ち上げます。

1階は、誰もがうっかり、意図的でなくとも目に触れてしまうような、街の風景を形作る特別な空間です。グランドレベルの設立前、海外では1階部分をどのように活用すべきかの実験・検証が行われていたり、1階部分のデザインに関するアワードなどの取り組みが進んでいましたが、日本では建物の1階の重要性はまだあまり注目されていませんでした。そこで私が1階づくりの専門家になろうと会社を立ち上げたわけですが、最近では行政側が『歩行空間の体験の質の向上』を打ち出すなど、1階の価値が見直されつつあります。私が考える理想的な1階は『多様な人々の姿が見える1階』なのですが、街をぶらぶら歩く中で様々な人の存在に気づける場を作りたいと考えています」


また、まちづくりにおいて、行政も個人も誰もが良い街を作りたいと考えますが、実際には異なる価値観が衝突することがあると言います。

「まちづくりって誰もが『良い街にしたい』って思っているんですよね。でも、例えば『緑が多い街がいい』と言ってボランティアの方々が木を育てても、別の人が『見通しが悪い』と伐採してしまうこともある。つまり、何を大事にしたいかは人それぞれ違うんです」


そして田中さんは、自らの経験を通じて街に必要なものを問い直し、「喫茶ランドリー」を立ち上げました。喫茶ランドリーは誰もが気軽に立ち寄り、自然な交流が生まれる空間として機能していると説明します。

「2016年にグランドレベルを立ち上げた後、墨田区千歳という町の空きビル物件について、『ここの1階、何とかならない?』という相談を受けて考えました。この辺り、昔は工場や倉庫が多かったけど、今はマンションだらけ。人が増えたのに街は寂しくなった。なぜか?『用事がない』からです。町に人が滞留できる場所がないんです」


「そこで私は、町の一角にお茶ができるような場所で、いろいろな人々の姿を見ることができるような、公民館のように誰もが気軽に立ち寄れるような場所があれば良いなと思い、『喫茶ランドリー』を作りました。ここではコーヒーを飲むだけじゃなく、洗濯や読書、展示会や勉強会もできます。町の人が自由に使える場所にしたら、自然と人が集まり、新しいイベントやつながりがどんどんと生まれていったんです。こういったものは、私たちが何かを意図したり企画して生まれたものではありません」


また、自身の1階づくりの理念を様々に言語化するよりも、目に見えて「こういうものが欲しい」と指差せるもの「喫茶ランドリー」を作ったことによって、田中さんの理念に共感する人がどんどんと広がっていったと言います。

「とかち財団の当時のスタッフの方も、新しく立ち上げるLANDのコンセプトとして喫茶ランドリーのような雰囲気を目指したいと言ってくれましたね。また、最近では喫茶ランドリーのある隣の町にシェアキッチンも作りました。料理をする人、雑貨を売る人、みんなが自分のやりたいことを試せる場所。その他にも、インスタグラムなどで過去に手がけたユニークな事例を紹介しているんですが、誰でも居心地よく過ごせる『許容量』の大きな場所を作るのがモットーで、これが『私設公民館』的であるということです」

「SDGsに欠けている18番目の目標は、『自分の街や自分自身にしかない課題に向き合うこと』を意味していると私は考えているんです。だから、誰もが仕事でも遊びでもその人らしくいられるという姿を、うっかり日常の風景として見られるような状況を目指してこのような仕事をしています」


参加者へのメッセージ



そして講演会の最後には、参加者に対して田中さんからメッセージが投げかけられました。

夢や目標、活躍といったものを、やみくもに幸せの条件にしないでほしいと思います。そうでなくとも幸せな人はたくさんいますし、輝かなきゃいけない、成功しなきゃいけない、活躍しなきゃいけない、そういった負荷がかかりすぎる必要はないと思っています。なので、ぜひ皆さんがこんなこと面白そうだな、やってみたいって思ったことがあれば、ぜひ気軽にLANDにお話しに来てください」


参加者の皆さんからは、

「これからの活動に向けて自身のマインドセットを変える新たな刺激・インスピレーションが得られた」
「今後開業する店舗づくりに向けてワクワク感が止まらなくなる話だった」
「1階がどれだけ大切な場所かということに気付かされ、まちづくりに必要なものについて認識を深めることができた」


といった声が聞かれ、参加者の皆さんがそれぞれの視点から田中さんの話を吸収し、今後の活動に向けて新たな発見・気づきやインスピレーションを得ることができた講演会となったように思います。

出会い!交流!新たなチャレンジへ!将来の事業連携へとつながる白熱の交流会!


そして、イベントの後半では、LAND利用者同士の交流による事業創発を目的とした交流イベント「LAND大交流会」が開催されました!



交流会の中では、参加者同士の活発な交流があった他、「2024LANDアワード」の発表、「1分位で俺の話を聞け!」コーナーでの参加者PR、2024年に起業された方への花束贈呈などが行われました。



そして、「1分くらいで俺の話を聞け!」コーナーでは、我こそはとアピールする参加者が続出!
予定時間いっぱいまで、白熱の自己アピール合戦が繰り広げられました!


最後に「2024LANDアワード」の中で発表された「起業おめでとう!」のコーナーでは、2024年に起業された以下の方々に花束が贈呈されました!おめでとうございます!

・MAKE-IN 池守 孝一さん
・jevois 磯野 巧さん
・株式会社ソルプレーサ・イノベーションズ 大久保 航也さん
・株式会社ATHBASE 河江 将司さん
・合同会社ニセントワークス 田中 健太郎さん
・株式会社リブアウト 田村 和広さん


※当日欠席となってしまった大久保さんに対しては、後日LANDスタッフから花束が贈呈されました。


最後はグランドレベル田中さんも含めて参加者全員で集合写真!

早速、この場で繋がった参加者同士の事業連携の動きが出てきたり、新たな分野にチャレンジしていきたいといった声も聞かれ、参加者の皆さんの次なるステップに期待したいと思います!

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
(写真提供:写真映像工房くろかりんとう・佐藤有将氏


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