澄んだ空気の中、穏やかな冬の日となった2025年12月20日(土)、
十勝発学生ビジネスイベント「TOMOSHIBI」を平原通り小劇場にて開催しました!
今年で2回目の開催となる「TOMOSHIBI」。
今年はどんな学生が登壇したのでしょうか...?早速みなさんにレポートをお届けいたします。
公益財団法人とかち財団が主催する「TOMOSHIBI」は、2023年2月、2024年2月に行われたビジネスイベント「爆風~十勝で新たな風を起こす若きイノベーターが大集合~」をさらにパワーアップさせた学生ビジネスイベントで、今年で2回目の開催。「TOMOSHIBI」というイベント名には、「参加学生の心の中にある『やりたいこと』や『アイデア』という火種がやがてビジネスへとつながり、世の中に影響を与える存在となってほしい」また「本イベントを通じて、この経験を通じ自身が進む道を照らす『灯し火』を見つけて欲しい」という主催者の願いが込められています。
イベントには、学生はもちろん、十勝の企業や金融機関、大学や新聞社等の関係者様など、総勢約70名様にご参加いただきました。
この冬、十勝で最も熱い学生ビジネスイベント「TOMOSHIBI」がいよいよ開幕です!
キーノートスピーチ 株式会社shiki 代表取締役 後田将人さん
株式会社shiki代表取締役 後田将人さん
イベントの幕開けを飾ったのは、株式会社shikiの代表取締役である後田将人さんによるキーノートスピーチ。
「誤算と読み替え」というフレーズで始まったスピーチは、思い描いていた人生がうまくいかなくなったとき、人はその出来事をどう受け止め、どう次へ進むのか――
その問いを、後田さん自身の歩みを通して語られました。
学生時代はラグビーに没頭し、「ラグビーに関わる仕事がしたい」と本気で考えていた後田さん。しかし怪我によりその道を断念し、さらに進学後はコロナ禍で思うように学べない日々が続き、描いていた人生設計は次々に崩れていきました。
「正解として選べるものが、何もなくなった」
そう感じたとき、後田さんは人から求められる正解を選ぶことをやめたといいます。
起きた事実は変えられない。
しかし、その捉え方(読み方)は変えられる。
この気づきから、「好きなことに没頭する」選択へと舵を切りました。
その「好き」のひとつが、ジンジャーエール。
世界中の料理をつくりながら味や素材への探求を深め、やがてショウガ農家のもとで修業を重ね、自身のジンジャーエールブランドの立ち上げへとつながっていきます。
建築、一次産業、デザイン、ブランディング。
一見バラバラに見える経験のすべてが、今の事業につながっています。
「正しそうな道より、自分だから描けるストーリーのほうが、圧倒的に楽しい」
迷ったら、まず現場に行ってみてほしい。
捉え方は9割。ポジティブになるというより、視点を選ぶことが大切。
と参加者に語り掛けました。
思い通りにいかない出来事を「誤算」で終わらせず、そこから何を読み取り、どう物語を描き直すか。
参加者の心に深く残る、力強いメッセージとともにスピーチは締めくくられました。
令和7年度LAND奨学金採択者によるトークセッション
次のセッションでは、令和7年度のとかち財団学生起業家育成奨学金(通称:LAND奨学金)採択者である4名の学生が登壇し、「LAND奨学金への挑戦のきっかけ」「5か月間という活動期間での事業の変化」「事業のこれからとイベント参加者へのメッセージ」という3つのテーマで、率直な言葉を交わしました。
LAND奨学金は、全国の起業を目指す学生を対象に、返済不要の奨学金の支給と事業伴走を行う制度で、採択後の5か月間、資金支援と実践的なプログラムを通して挑戦を後押ししています。
◯登壇者◯
・安達航生(帯広畜産大学3年):十勝産食材100%で地域密着型の移動式バーガー店を展開することを目指す。
・小倉ことみ(帯広畜産大学4年):解体施設に受け入れられない鹿を活用し、ペットフード販売や解体体験を通じて鹿の廃棄
ゼロの仕組みづくりを目指す。
・飯塚健斗(京都芸術大学3年):映像や記事で十勝の生産者の暮らしや想いを伝え、EC販売や定期便、ふるさと納税と連動さ
せた地域のファンづくりを目指す。
・三上小雪(帯広畜産大学博士前期課程2年):ヤギ・ヒツジ農家に向けた生産管理支援と販路拡大を支援し、十勝の小規模畜
産の収益向上と価値創出を目指す。
左から順に、飯塚さん、小倉さん、安達さん、三上さん、ファシリテーターを務めるLAND山口さん
➀事業への挑戦のきっかけと、最初にぶつかった壁
「正直、最初は『やりたい』だけでした。」
安達さんのこの一言から、トークは静かに熱を帯びていきました。ニュージーランドで出会った一つのハンバーガーをきっかけに、「十勝産100%で本気で美味しいものをつくりたい」と動き出したものの、素材選び、仕入れ、調理、価格設定…想像以上の現実に直面し、「理想と現実のギャップに何度も立ち止まった」と振り返ります。
小倉さんは、鹿に関わる活動の中で業界の課題と向き合ってきました。「鹿肉は流通が難しく、マイナスなイメージも強い」。それでも「だからこそ、ワクワクする産業に変えたい」と語る姿に、会場は自然と引き込まれていきます。
飯塚さんは、狩猟や解体の現場に立ち続ける中で、「支援する側ではなく、当事者として現場に立ちたい」と強く思うようになったと語ります。命と向き合う覚悟の言葉に、会場の空気も引き締まりました。
三上さんは、小規模なヒツジ・ヤギ農家の経営を支える中で、「現場の声を聞くたびに計画が書き換わった」と何度も迷い、葛藤してきたことを打ち明けます。4人それぞれの出発点は違っても、「やりたい」から始まった挑戦が、現実と向き合う過程で試されてきたことが伝わってきました。
②5ヶ月間という奨学金採択期間で変わったこと
採択から現在までの活動を振り返る場面では、4人全員が口をそろえて「考え方が変わった」と語りました。
小倉さんは、内省を重ねる中で「何を目指すのか」そのものが変化していったと話し、安達さんは、多くの人に支えられる経験を通して、「好きなことをやる」から「本気でビジネスとして向き合う」姿勢へと意識が変わっていったと振り返ります。
また、三上さんは現場でのヒアリングを重ねる中で、プランが何度も揺れ動きながらも、次第に確かな軸を見つけていったと語り、飯塚さんは、野生動物への情熱を、事業として形にする段階へと踏み出していると語りました。
③今後の展望とイベント参加者へのメッセージ
最後に語られたのは、それぞれのこれからと、挑戦する人への言葉でした。
「面白そうと思ったら、とにかく動いてみてほしい」
「業界を盛り上げ、ヒツジをもっと身近な存在にしたい」
「人に影響されやすいからこそ、環境を大切にしてほしい」
「苦しい時期こそ、人との出会いが支えになる」
4人の言葉はどれも経験から生まれたもので、会場の参加者一人ひとりに静かに、しかし確かに届いていました。
TOMOSHIBIビジネスプランコンテスト
いよいよ本日のメインイベントでもある「TOMOSHIBI ビジネスプランコンテスト」のスタートです。「TOMOSHIBI ビジネスプランコンテスト」は、十勝で起業を目指す学生が挑戦するビジネスプランコンテストです。今年度は昨年度と異なり、一般公募および事前審査を勝ち抜いた十勝の6名の学生が登壇します。
審査員は、帯広信用金庫の石川さん、一般社団法人AgVenture Labの篠原さん、藤丸株式会社の山中さんの3名です。審査員の皆様には、学生の「意欲・情熱度」、「新規性・独創性」、「計画性・継続性」「顧客解像度」の4つの観点から審査をしていただきます。コンテストの最後には、最優秀賞・優秀賞・協賛企業賞、さらに、イベント参加者が最も心を動かされたと感じた登壇者に投票するオーディエンス賞も用意されます。
左から順に、石川さん、篠原さん、山中さん
期待と緊張に包まれるなか、「TOMOSHIBI ビジネスプランコンテスト」の開始です!
梶谷彰(帯広畜産大学2年)
〜十勝マーケット - 十勝最大のECプラットフォームへ〜
「十勝の魅力が、外に届いていない」
その課題意識から生まれたのが、十勝マーケット。
発送業務を一括で担うフルフィルメント代行を組み込むことで、事業者の負担を減らしながら、十勝の「そこでしか食べられない価値」を全国へ届ける構想です。
「全国展開すると、十勝らしさが失われないか」という問いには、「だからこそ、十勝の人と関わり続けたい」と答えた言葉が、強く胸に残りました。
服部ななか(帯広畜産大学3年)
〜学生×カフェ - ビジネスを学ぶ場「L2」〜
服部さんが描いたのは、学生が気軽にビジネスを体験できる「学びの場」としてのカフェです。
石垣島やニュージーランドでのカフェ経験、そして畜大生による委託販売企画「畜大とらっく」の運営を通して、学生と地域をつなぐ場を構想してきました。すでに営業を開始し、牛乳やコーヒー豆は十勝にゆかりのあるものを使用しています。仲間を巻き込みながら備品をそろえ、テストマーケティングまで進める行動力が、会場の空気を一気に引き寄せました。
学生のうちにできること、学生にしかできないことを。
その言葉が、会場に集まる学生の背中を押します。
工藤大悟(帯広北高等学校3年)
〜凪と時化 - 漁業が生み出す新たな体験〜
唯一の高校生登壇者である工藤さんは、地元であるえりも町の漁業と観光を結ぶ新しい体験プログラムを提案。
漁師とともに食べ、働き、自然と向き合う体験を通して、地域と人が深くつながる関係性を描いています。
将来的には全国展開、そして定住人口の増加も視野に入れています。
「消費される観光ではなく、共に生き、共に創る関係を」という言葉とともに、漁業×観光でまちづくりに挑みます。
西村林蔵(帯広コア専門学校2年)
〜視覚で楽しむプログラミング教室〜
西村さんのプランは、「自分のコードでモノが動く感動」を届ける体験型プログラミング教室です。小学校高学年から中学生を対象に、視覚的に楽しめる学びの場を構想しています。
学習塾ではなく、プログラミングに興味を持つ「最初の入口」としてのイベント型教室として位置づけ、継続的な展開も見据えた、未来志向の取り組みが語られました。
市川真由美(帯広畜産大学2年)
〜アイヌの世界観をゲームで追体験〜
アイヌ文化の普及啓発をテーマに、ブラウザ型収集ゲーム「エウマレシノッ」を提案しました。カードを集めながら物語を追い、街を歩くことで、文化に触れる入口をつくります。
「アイヌと自然、動物との関わりを伝えたい」という想いのもと、北海道固有の動物とアイヌ語を結びつけたカード設計に、審査員も大きくうなずいていました。
将来的には全道展開を目指し、文化と観光、学びを結ぶビジョンが示されました。
大野理人(帯広畜産大学4年)
〜TOKACHI PLAY LAB ― 遊びながら十勝を知る〜
大野さんが描いたのは、チーズ職人になれるボードゲームです。
十勝に1000種類以上あるナチュラルチーズをテーマに、チーズづくりの工程や現場で起こる出来事をゲームとして表現しました。
遊びながら十勝の仕事や文化を知ることを目的とし、将来的には削蹄師やばん馬など、十勝の職業を広げていく構想も語られました。
「職業図鑑のような存在にしたい」という言葉からは、地域への深い愛情がにじんでいました。
6名の熱い発表が終わり、いよいよ審査員による審議へ。
どのプレゼンにも新しい視点と想いが込められ、会場は緊張感と期待に包まれます。
受賞者の発表は、イベント後半へと続きます。
TOMOSHIBIビジネスプランコンテスト結果発表
ついに、TOMOSHIBIビジネスグランプリの結果発表がやってきました。今回は「最優秀賞」「優秀賞」「協賛企業賞」に加え、来場者の投票によって選ばれる「オーディエンス賞」の4つの賞が贈られます。
6名の登壇者による熱のこもったプレゼンテーションを経て、どのプランが選ばれるのか。会場には自然と緊張感が漂い、いよいよ受賞者の発表が始まります。
〇優秀賞〇
まずは優秀賞の発表です。
優秀賞に輝いたのは…帯広畜産大学4年の大野理人さんです!
TOKACHI PLAY LABと題し、十勝のチーズをテーマにしたボードゲームを提案した大野さんは、遊びを通して十勝の仕事や文化を知ることができ、家族や友人との会話が自然と生まれる点が高く評価され、今回の受賞につながりました。
大野さんは、支えてくれた人への感謝を述べるとともに、今後も遊びという切り口から十勝地域の魅力を伝え、地域振興に貢献していきたいと意気込みを語りました。
〇協賛企業賞〇
続いて、協賛企業賞の発表です。この賞は2名の登壇者に送られます。
協賛企業賞に輝く1人目は…帯広畜産大学4年の大野理人さんです!
そして、副賞としてふく井ホテル・ひまわり温泉の入浴券が贈られます。
温泉施設とのコラボレーションの実現や、ゲームのプレイ場所としての可能性に期待が寄せられました。大野さんは、温泉とボードゲームを掛け合わせた新たな展開にも意欲を示し、モール温泉の魅力も発信していきたいと語りました。
そして、2人目の協賛企業賞は…帯広畜産大学2年の市川真由美さんです!
市川さんには副賞として、SLOW living商品券1万円分が贈られます。
「好き」という想いを起点にした発想力に期待され、この賞が贈られました。
アイヌ文化をテーマにしたゲームを通して、自身の「好き」という気持ちが人や地域に影響を与えられることを実感したと語り、今後も好きを原動力に取り組んでいきたいと述べました。
〇最優秀賞〇
続いて、いよいよ最優秀賞の発表です。
「TOMOSHIBIビジネスプランコンテスト」の最優秀賞に輝いたのは…
帯広北高校3年の工藤大悟さんです!
漁業体験と観光体験を組み合わせたプランを提案した工藤さん。
地域の課題を的確にとらえ、実際の事例を交えながら具体的に描かれたアイデアは、多くの人に強い印象を残しました。
工藤さんは受賞の喜びとともに、今後は地元えりも町の発展や漁業が抱える課題解決にさらに力を入れたいと、力強く展望を語りました。
〇オーディエンス賞〇
最後に、会場にいる参加者の投票によって選ばれるオーディエンス賞の発表です。
参加者の心を最も動かしたオーディエンス賞に輝いたのは…
帯広北高校3年の工藤大悟さんです!
地域課題解決に向けた熱意と行動力が高く評価され、
工藤さんは、最優秀賞に続く受賞に感謝を述べるとともに、今後も多くの人と協力しながら地域課題の解決に向き合っていきたいと語りました。
ミートアップ
イベント終了後には、参加者同士の交流会が開催されました!
先ほどのビジネスプランコンテストにも登壇し、学生カフェ「L2」を運営する服部ななかさんより、コーヒーや畜大アイスの提供がありました。
緊張から解放された登壇者たちには笑顔が溢れ、互いにスピーチでは語りきれなかった話を語り合います。分野や目線の異なるもの同士交流することで、自身の興味関心ごとの可能性がさらに広がる様子でした。今年は高校生の参加も多く、大学生と高校生が語り合う場面も多く見られました。
来年度にはどんな学生に出会えるのか――。今から期待が膨らみます。
「TOMOSHIBI」アフタームービーはこちらからどうぞ!
リンク先→ https://youtu.be/7jeCouPMQzE